コンポジットレジンによる修復

前項で案内したとおり、一度象牙層まで届いてしまった虫歯は、自然治癒は極めて難しいといわざるを得ません。

そこで、う蝕した部分をドリルで削るのですが、削った分だけ歯がなくなってしまいますね。

歯科治療は、ここを替わりの物質で埋めていく作業が補修と呼ばれます。

コンポジットレジン(CR)とは

コンポジットレジンとは、歯と同じ色をした樹脂のことです。

コンポジットとは「部分的」ということであり、「レジン」とは平たく言うとボンドです。

普段は長いので「CR」と略して呼んでいることもしばしば。

固まるとプラスチック同様の強度となります。

やはり元通りの見た目は大きい

このCRの利点は、なんといっても歯の見た目にあまり影響を与えないところにあります。

昨今、あまり銀歯の人を見なくなりましたが、実は銀歯が使われているのは日本だけということを知っているでしょうか。

一般の病院同様、歯科においても、見た目に気を使うのは、世界的に見ても当たり前のことであり、それは一定の教育や素養といったステータスの一つとして見られるのです。

金属と違い、オリジナルと一緒の色ということは、大きなアドバンテージなのです。

また、単純な樹脂のため、老朽化しても簡単に詰め直すことができるほか、保険の適用内なので、極めて安く仕上げることができます。

硬くてもオリジナルに勝てない

CRの難点としては、やはり強度の問題でしょう。

CRが固まるとプラスチックよりも、もっと言うとオリジナルの歯よりも硬くなりますが、これが問題となります。

我々の歯は、硬さに加えて、柔軟性を持っています。

モース硬度最高値のダイヤモンドが砕けやすいように、しなりのない物質はすぐにかけてしまいます。

これはCRも同じなのです。

普段、成人男性で60kg、成人女性で40kgの顎の力があることを考えると、毎日の食事で日々が入ったりする可能性があります。

このため、とりわけ力のかかる奥歯や、歯の縁が広く欠損している場合、CRが使用できない場合があります。

また、耐久年数が5年と短いところも難点とはいえるでしょう。

しかし、近年CRも技術革新が進み、より自然な色で、元の歯の機能に近く、非常にしなやかな硬さを実現しており、改善されています。

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