3P-MIX法による修復
さて、これまでは虫歯は削るしかないという体で話をしてきました。
確かにそうなのです。
う蝕で侵されてしまった組織は、取り除かねばいけません。
しかし、削り方によっては、周りを残して中だけをくり抜くことができると思いませんか?
こうした考えに目を付けた人がおり、近年話題となっているのです。
3P-MIX法は抗生物質を歯の中に注入して蓋をする
歯の内部、特に歯髄まで到達しているとなると、治療も本来はなかなか厄介です。
しかし、仮にもし神経が温存できているなら、望みがあるかもしれません。
あらかじめ、アプローチする部分を決め、そこから中をくり抜く形で削っていきます。
う蝕部分が削り終わったら、中に薬を詰めます。
一般的に3種類の抗生物質を混ぜて詰めるため、3P-MIX法と呼ばれているのです。
しっかりと満たした後、歯の再石灰化を促進する物質を詰めめ、最後にアプローチした穴をCRで塞ぎます。
これで、一見すると普通の見た目の歯であり、上がCRで閉じているだけとなります。
半年から1年ほどなど、定期的にこれを繰り返すことで、少しずつですが、歯を自己修復できるという活気的な技術です。
疑問を唱えるドクターも多い
しかし、如何せん不確定な技術段階であることは否めません。
効果が果たしてあるかどうか、特に殺菌と再石灰化により自己修復できるのか、という部分も争点となっているものです。
失敗して悪化した例もあるほか、かえって痛みが増し、最終的に抜歯したケースなどもあるのが現状です。
また、この治療には保険が利きません。
表面の薄い切歯や犬歯なども適用外であり、臼歯であり、外壁が温存されているトンネル虫歯に有効といえるでしょう。
しかし、歯をできる限り概観を保って、自己修復に望みをかけられる点では非常にメリットはあるでしょう。
実施している機関もとても多いとはいえず、歯科医院によって方針が違いますから、事前に調べていくと良いでしょう。